― 2年後・大森林 ―
準備は出来たかい。
[カレルを森に連れてきてから2年。背が伸び腕も足も太く固くなった青年の前で、老婆の姿をした竜は問う。
背後には森にすむ小さな生き物たちに作らせた小屋があった。
人ひとりが済むには十分だろうそれは、王子の住処としては粗末なものだったが、生きるために必要な物は十分備わっていた。
老婆は王子をそこに住まわせ、2年の月日と己の持てる知恵や力をかけて、光の原石であった王子を見事に磨き上げたのだた。
老婆は返事を聞くと、頷き再び竜の姿を取った。]
さぁ背に乗るといい。
お前が向かうと決めた地まで、あたしが運んでやろう。