―宿―
…何事だ、一体。
[ただならぬ様子に、ひとまず教会の収拾は他の人間に任せ一足先に宿に向かう。
中は集まってきた村人たちでごった返していた。誰か知人の姿を見つけたなら会話したかもしれない。
神父の姿を見つけるや否や不安にかられすがってくる人間も一人や二人ではなかった。
落ち着いて、大丈夫ですからとひたすら宥める役に回っていたため、ヴァルターの話>>16を落ち着いて聞く余裕はなかった。
会議は荒れつつどうやら村の外に避難するということで話はまとまったらしい。]
――すみません。一体何故ここまで混乱しているのです?
教会からすぐにこちらに向かったもので、いまいち状況を把握しておらず。
[会議がまとまったのを見計らい、こそこそとヴァルターに近づき詳細を尋ねる。
誰に聞いてもモーリッツとカタリナが凍死したこと以外、「伝承が」「雪が」と返ってくるだけでいまいち要領を得なかった。
彼ならきっと詳しいことを知っているのではないかと期待しつつ]**