― 少し前・指令室前>>32 ―
任務外では楽に接してくれて構わないわ。
[明らかに緊張している様子に笑いながら
そっと階級章を掌が隠してみたが、手遅れのようだ。
『メアリー』と呼ばれて瞳を瞬かせる。
カシムはそれよりも指令室の前という位置が気になるようで
ドロシーのその様子に気付く様子はない。]
そう、ね。
同じ駐屯地にいるのだし、次の機会にまたゆっくりね。
[見るからに緊張で手一杯な彼に
今ここで名前を訂正をしたら大変な事になりそうだ。
次にそっと訂正するとしよう――それはそれで大変そうだけど。
敬礼を返し、ドロシーもまたその場を離れた。*]