『団長!リンザールの領主殿が討たれたらしいとの伝令が!』
[ 中央の陣営が目に入る所まで駆けた時、しんがりを務めていた副官が、自ら馬を走らせ、知らせてきた。
彼は、ノーラとの会話の場にも同席していたから、この報せが、ナイジェルにとって重要度の高いものである事を察したらしい。 ]
ノーラが...?
[ 一瞬、息を呑み、馬脚を緩めたナイジェルだったが、すぐに軽く頭を振って、中央へと視線を戻す。 ]
では、リンザール兵と六月は撤退しているな。見つけ次第、気力体力が残る者は、こちらに合流させろ。
[ 常と、変わらぬ声音で命を降してから、ふと、鞍に結んだ、皮袋に触れ、その中の飴を一つ取り出して、口に含んだ。 ]