もちろん、行くさ。
[ カラカルの告げた言葉を聞いて、問いかけてきたディークには、笑み浮かべて当然と応じ、その場でぶる、と身を震わせると、大きな黒虎の姿へと変じた。
それはつまり、武器の無い状態での戦闘態勢をとったということでもあるのだが...目的はもうひとつ ]
待っていろ、動けないなら後で運んでやる。
[ 漆黒の獣は、アイリの耳元に鼻面を寄せて囁いてから、肩から首筋の傷のある辺りを、ぺろりと舐めた。
湿った舌の感触は痛みを呼んだかもしれないが、強い治癒の力を持つ黒虎の唾液には、僅かながら、傷の治りを速め血を止める程度の効能がある。とは、後で知れただろう ]
行くぞ。
[ 相手の都合や気分は悉く無視して、相変わらずの好き勝手に振る舞った黒虎は、そのまま示された北の方角へと駆け出した* ]