人狼物語−薔薇の下国

297 吸血鬼の脱出ゲーム


碧眼 シルキー

[浮かび上がるような感覚に、金糸雀はほんの少しだけ目を開ける。
視界は曇りガラスのように煙り、周囲の状況はよく分からないけれど。

(ああ、分かるわ)

金糸雀の体を持ち上げて覗きこんでいるのが誰かは、分かる。
異形の身として生まれて初めて、――いや。
"死んで"初めて出来た、お友達。

(ああ、エルさん。泣かないで。)

ぼやけてしまって表情なんて分かりやしないし、彼女が何を言っているのかもさっぱり聞き取れないけれど。何故だか彼女が泣いているような、そんな気がして。
しかし声を上げようと口を開いても、出てくるのはか細い呼気だけ。]

――……、

(41) 2015/02/03(Tue) 00:54:41

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