[浮かび上がるような感覚に、金糸雀はほんの少しだけ目を開ける。
視界は曇りガラスのように煙り、周囲の状況はよく分からないけれど。
(ああ、分かるわ)
金糸雀の体を持ち上げて覗きこんでいるのが誰かは、分かる。
異形の身として生まれて初めて、――いや。
"死んで"初めて出来た、お友達。
(ああ、エルさん。泣かないで。)
ぼやけてしまって表情なんて分かりやしないし、彼女が何を言っているのかもさっぱり聞き取れないけれど。何故だか彼女が泣いているような、そんな気がして。
しかし声を上げようと口を開いても、出てくるのはか細い呼気だけ。]
――……、