―朝・談話室―
[昨日、不吉な胸騒ぎに苛まれた>>1:211ためか。
その日、フリーデルが降りてきたのは、既に殆どの村人が起床し、シモンがゲルトを探しに行くと外を出た>>7よりも後であった。
目には若干の隈が浮かんでいる。
フリーデルが談話室に一歩踏み入れた丁度その時、リゼットの声 >>19 が耳に届いた。
――シモンさんなら、ゲルトさんの姿が見えないから……
その言葉を聞くやいなや、フリーデルの身体が電撃にでも打たれたように硬直し。
必死で平静を装うも装いきれるものではなく。目を見開き、肩で深く息をつき、明らかにおかしい様子を見せてはいるが。
今のところ、ただ、無言で震えているだけである。]