[ざわめく人々の中、真っ先に動いたのは監査局長、些か芝居じみた声を張り、衆目を集めたところで目前に膝をつく。>>6
口を閉ざした第二王子はといえば、真剣な面持ちで彼の仕草を見つめていた。心臓の鼓動は早いのに、何故かずしりと重い塊が胸の上にあるかの心地がする。
一度口を開きかけて、上手く音にならずに息を吐いた。
ほんの僅か苦笑してまた口を開く。次はきちんと音になった。普段よりも幾分低いままの声であったけれども。]
それが亡き父王の御遺志ならば──…
[従おう。そう決めていたのだから。
ヘルムートの瞳>>7を見返して、頷く。そうして踏み出しかけた足を、喧騒>>32が止めた。]