――午後:上官の部屋――
[視界が赤に染まる。
窓ガラスは赤に、血に濡れ。今は透明に。
歓談の声は怨嗟に、少女の呟いた言葉に。
――お お か み。
『おい、中尉』
上官から苛立ちを交え呼びかけられて、はっと窓から顔を離す。
現実と夢の境界線は、今日は常よりずっと曖昧だ。]
失礼いたしました。少将。
はい、もちろん良くしていただいています。
…ええ、防衛は十分ですよ。感銘を受けております。
[駐屯地に常任している最高位であるローゼンハイム少将に、ここの警備状況を自慢され、カスパルは社交辞令でしかない笑みと言葉を返す。
赴任翌日に提出した改善案の返事がないのはこういう事らしい。]