― そシて現在・悪徳の館 ―
[ぼやけタ意識ガ覚醒シ、止まっタままの心臓ガ凍ル。先ず確認シタのは、她の姿――噫、良カっタ。その姿は、未ダ自分の腕の中。
気を失っタと思っテはいタが、それはほんの一瞬の事ダっタらシい。自分の脚はしカと地に着き、体勢を崩シてすらもいナい。
――ダけれど。先程トは一つダけ、違う事ガあル。]
……"ドリィ様"、此処。何処ダろうネ。
僕達は渓谷に居タ筈なんダが。
[一瞬にシて変わり果テタ周りの風景に、腹に埋め込まれタ女神の"脚"ガじくりト熱を持つ。
未ダ堪え切れぬ程ではナいその熱は、しカし屍人の躰には酷く不快なもので。
僅カに眉を寄せナがら、しカしそれでも她
無用ナ心配をさせルのは面倒ダ、ト。不快さは顔には出さずに、代わりに抱き締めル腕の力をほんの少しダけ強めテやり。
元々鋭い眼差シをさらに険シくしタのなら、警戒を滲ませタまま辺りを見回しタ。]