少女 リーザ

［いつかまた歌を歌いたい。
　歌って、踊って、その時にまた
　世界中の人々を魅了できなくても努力したい。
　その気持ちを胸に5年間、自分の喉と向き合ってきた。
　けれど何一つとして成果は得られなかった。

　……最近は、少し諦めている。
　皮肉にもそのおかげで周りのことが見えてきた。
　ずっと近くで応援してくれている家族や友人。
　みんながいたからこそ
　私は今日まで死なずに生きてこれたのだ、と。

　ならば、せめて私は誰かの天使でいたい。
　歌が歌えなくても、周りの人を幸せにできるように。

　お金がなくて新しい機械も買えないけれど
　弱音を吐かないことはできる。
　笑顔でいることはできる。

　ゲームのテストプレイへ応募したのだって
　とてつもなく惹かれたこととは別に、
　これに当選すればお金がもらえるからだ。］