人臭い、人臭い……反吐が出そうじゃ…
……えぇい、仕方無い。ほんなら、利用したるわ
[不気味な笑みを浮かべ、見ゆる先は新郎新婦が仲睦まじげに腕を組み教会の入り口から出てくる所だった。
上を見上げれば、こんなにも近い距離に天使が居る。その視線は寂しそうで、儚げで……ゾクゾクと背を震わせた。]
クッ、ハハッ……
幸せそうな所失礼するぞ?
それとも、ここで幸せを終わらせたろかい
[狙ったのは新郎の方。彼女が愛おしげに、そして寂しそうに見つめていた視線の先に彼が居た気がしたのだから。自然と体はそちらへと動いていた。
新郎の首根っこを掴み、首が締まらないように教会よりも高く高く羽ばたいていく。ローブは既に剥がれ、首筋や足に浮かぶ黒い鱗、伸びた尾、そして蝙蝠のように黒い羽根を羽ばたかせた。]