― 回想、教会にて ―
[村に来て、まず初めに教会を訪れた。その日は生憎の天気で朝から空には黒雲が覆っていた。村に着いた時には雨が降り出していたので、目に止まった教会に入って雨宿りすることにした。
聖堂は人気がなく、静かだった。緑色のマントから水が滴り床が濡れる。神父の姿を見つけて挨拶をした。]
すみません、雨宿りをさせて下さい。
私は旅人です。先程、この村に着いたところなんです。
[男とも女とも区別がつかない声が聖堂に響く。男にしては高すぎ、女としてはやや低い。
帽子のつばに隠れて目元は見えないが、口元は微笑を浮かべていた。 *]
名前は、ニコラス…と申します。