[ 確認が取れたので、手紙は床へ捨てた。
同じ引き出しに、妻への手紙や、遺言めいたメモもあるのも知っていたが、目もくれなかった。
兜を抱えて背を向け、部屋からバルコニーへ出る。
涼む為の場所ではない。戦況を見下ろし、指揮をするためののこぎり狭間のついた空間だ。
テオドールの姿を見つけたハーピー隊が、羽音を立てて着地し、膝をついた。 ]
追撃部隊は?
[ 撤退するリエヴル>>30へと放ったゴブリン部隊の状況を聞く。
ハーピーが口ごもったのを見てすぐに、
命令に反して、砦の「おこぼれ」に誘われた魔物が多く出た事を察した。 ]
使えんゴブリンどもだ。
ウェルシュあたりに、始末するよう伝えておけ。
[ 人間の軍ならば起こり得ないような状況だ。
魔物の理屈はごく単純で愚かで、扱い易いが、こういった命令違反もままある。 報いは死だ。恐怖は、魔物も人間も支配しうる力だ。 ]