─ 少し後の時間: 地下礼拝堂 ─[ アデルと一緒に長椅子に座って、 彼の手を握り締めた。 ……静かだった。 だが、台風の前の静けさだということは、 素人のユーリエにもなんとなく分かっていた。 燭台の炎がちりりと蝋の香りをさせ、 いくつもの光源から投げられる影が、ひらひらと揺れた。 ] ……さっき。 何か言おうとしていなかった? あの、赤い吸血鬼が来る前。>>5:224