理解しているよ
――きっと誰よりも、理解している
[忘れようとしていた記憶
肉屋のお兄さんが、掌から転がした
血だらけのネックレス
とーさんが己を占ったと宣言した時の絶望]
大多数の意見ならば仕方ない
例え、それが。自分の願いと考えに反していても
それが必要な犠牲と理解しつつ
割り切らねばならないと、自分をだます
[理解しているからこそ。”そうした”
そしてそれを逃げの理由にはできない
そうでなくば、それこそ人狼よりも残酷な
ひとごろし、だろう
否、すでに無辜の人間を殺めることに加担しているのに
それでもその毒は甘美に、全身を廻る]