―昨日・厨房にて―
[>>32ジェフロイに名を呼ばれ、掛けられる問いに逡巡した後、其処に居る顔ぶれを見渡す。
自分よりも年嵩の男たちの顔を順に眺めて…「彼」が居ない事を改めて確認して]
…若い女でも居れば、そう、思ったかもな。
どいつもこいつも不味そうだ。
[皮肉るようにそう嗤って、そんな冗談ではぐらかした。
むしろ、吸われて「彼」を生かすものにになりたい、そんな告白を向ける相手は今此処には居なかったから。
獲物として、餌として、自分が欲すだけの強さで求められたら、どんなに――……
飢えや渇きを癒す甘露の滴の味より、ずっと甘いそんな現の夢に、うっとりと、虚ろな目を細めてひっそり微笑んだ。
結局は、ただ自分のやりたいようにしているだけの猫に、彼は気付いただろうか?*]