― 中佐の部屋 ―
ご多忙のところ、時間を割いていただきありがとうございます。
はい――Code 471と、ローゼンハイム少将のことです。
[緘口令の無意味さは中佐も理解しているようで、
ドロシーが口にしてもどこで聞いたかを訊ねてくる事はなかった。]
少将を最後に目撃したのは私かもしれません。
夜中に護衛もなく歩いてみえたため、一時同行いたしました。
安全な駐屯地内といえ、銃も持たない散策慎むべきと
お伝えしたのですが……はい、その後もお一人で。
[少将の深夜の徘徊癖は中佐もすでに承知していたらしく
目撃情報を集めていたところのようだった。
表情からして、護衛を進言し機嫌を損ねられた経験持ちらしい。
遭遇した事も同行した事も事実だ。
ただ、ひとつをぼかしただけ。]
はい……はい。失礼いたします。
[自ら容疑を被りに来ないだろうという判断だろうか。
軽い監視を一応付けると言われたものの自由行動は許可される。
……そもそも監視を付けると明言するのもいかがなものか。
温情を感謝する旨を代わりに口にし、
一礼と共に辞去してからは通常任務へと移行する。
……今日の休息時間には、久々に銃を握りに行こうか。*]