人狼物語−薔薇の下国

340 下克上の服従試験


退魔士 リヒャルト


  ………何処に、いる。

[腕を伸ばさなかった。
咄嗟に、追いかけようとさえしなかった、あのおさげ姿の少女は、何処に。

先程の光景を思い出せば鬱屈とした心地に舞い戻る。
吐いた息は重苦しい。
誰にも見られていない。
そのことをいいことに、片腕で自分の肩を一度抱いて。]

  ッ、!

[だから、耳元で擽るような冷たい吐息には気付けず、現れた吸血鬼の鋭い歯牙から逃れる術などなく。

左手で構えた剣を振り回す。
その際に飛び散った数滴がダンスホールを汚して、沈黙していたホールはさざめき立ち、覗く月が弧を描き嗤う。]**

(40) 2015/06/07(Sun) 13:47:40

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