― 宿屋の一室:未だ惨劇を知らぬ朝の夢 ―>>13
[ 背後にそっと誰かが忍び寄って、髪の毛がひっぱられる。かくん、と首がなって慌てて振り向けば、けらけら笑いながら走り去る帽子の男の子。 ]
ひっぱらないでったら! アルビン、きらーい!!
[ サイドで二つに結んだ髪はよほど引っ張りたくなるのだろう。それは日常茶飯事の光景だった。 ]
[ 村の悪戯好きな少年たちには、ちょっかいをかけるたび怒って喚くパメラが、おもしろくて仕方がないのだろう。 ]
[ 持ち物を隠されたこともよくあった。
その時はウサギのぬいぐるみ。 ]
かえして!ばか! ゲルト、きらーい!
[ 両手でひょいひょいと弄びながら連れて行かれ。見つけたときには高い木の上。
木登りのできないパメラには取り返す術はなく、途方にくれた。 ]
[ 見かねた誰かが取り返してくれたはずだが、すっかり汚れておなかは破れてワタが零れてしまっていた。 ]**