――訓練場→廊下――
[僅かにフォームを直せばサシャの銃弾は急所へと飛ぶ。>>39
狙撃手としての腕は評判通りだ。
サシャが食事の話を出すのは、彼女なりの気遣いなのだろう。緊張しているカシムには、雑談でもしながら気分を和らげるのも必要と思い、訓練中の私語にも注意はせずに見守った。
その後カシムの指導を続け、銃を撃ちたいという彼にはもう一度構え方を1から指導した。>>28
本当に大切なのは、姿勢でも練習量でもなく、撃つという覚悟そのものだったが、カスパルがそれを与えてやる事は出来ない。
訓練室を出て行き廊下を歩きながら、項を這うぞわりとした感覚に思わず手をやったが、もちろん何もなかった。
窓の外には、穏やかな駐屯地が広がっており、先週までいた前線基地とは空気の色すら違って見える。
だが、ここにはあの悪夢の一端である彼女がいて。
想像していた通り夜は静かすぎて。
悪夢は、昨夜も最悪だった。*]