皇子に似た誰かが佇んでいたが、人込みに紛れて見失った
見慣れぬレオヴィル軍服の男へ誰何したら、それがクレステッドにそっくりだった
瀕死者を寝かせた天幕を歩いていた
皇子ロー・シェンの居場所を尋ねられた
とても、あのアンデッド達のようには見えなかった──
亡くなられたはず、と言ったら「それもそうか」と悲しげに笑って消えた
怪我人に水を配る手伝いをしていた
声をかけられたので振り向いたら誰もいなかった
そういえばセミヨンの最前線で騎上の皇太子を見た気がする
[怪しげなものも含み、いくつもの目撃談。
戦時の混乱のなかだとしてもあまりに唐突に現れた噂だった]*