――っく!
[それを黙って受け入れる程アイリは諦めが良いわけがない。ましてや目の前にはフレデリカがいる。何故かはわからないが、フレデリカには誰も襲いかかろうとはしてはいなかったが…それでも、危険な状態には変わりない。故に―]
…勝手に、殺すなっ!
[アイリは右手に黒い影を集め…昼間フレデリカに見せたあの湾曲刀を作り上げ、振り下ろされた鈍器を斬った。
アイリの能力は武器を作るだけである。そして武器を作れるだけであり―アイリの身体能力が上がるわけでもない。だが、その武器の鋭さは名刀にも劣らない。それと同時に、身体能力そのものは上がらないが―作った武器の使い方は、頭の中で理解出来るのだ。故にどうすれば上手く武器を振るう事が出来るのかを、アイリは知っていた。だからこそ、とっさの攻撃にも対応が出来た。
だが、身体能力は上がらない以上。
……多数との戦いは、アイリの身体を疲弊させる。
しかもアイリは可能な限り武器を破壊するだけに留めており、相手をむやみに傷付けようとはしなかった。
このままでは、いずれ限界は訪れる。
その事を理解しているアイリは内心冷や汗をかきながら、それでもただ耐え忍んでいた。]