―少し前・リビング⇒露天風呂―
[警戒させてしまったか、無防備だったリヒャルトの耳が
周囲の空気さえも測るようにピンと立つのを目の当たりにした。
眠そうなリヒャへ「おやすみ」の意を込めて手を振り
雨に清められた外の空気を、肺いっぱいに吸い込んだ。
朝露を弾く陽光が眩しくて、眼を細めながら
髪や肌を洗う頃、周囲にひとの気配が近づいてきた>>11>>17
洗い場を譲り、褐色のうさぎは湯船へと向かう。
温かな湯気の立ち昇る風呂は、外気の冷たさと相反して熱く感じ
爪先を沈めては引っ込める、という動作を繰り返していたが
やがてゆっくりと膝まで浸かり、肩までを湯へ沈めていった]