─0日目・AM11:00・エントランス─
はは、多分そうだよ。
魔術兵学の筆記では『感覚でやる』とか『魔獣を敵にけしかける』とか、適当に書いた気がする。
[知り合って早々に呆れられようと>>30意に介すことはなく、それどころか楽しげに笑ってみせる。合格理由など気にしてもいなかったが、筆記試験を思い返してみればさぞ減点されたであろう滑稽な回答の記憶しか出てこなかった。
ふと、呆れから一転して不服そうにする相手。それが自分の提案のせいと分かれば面を食らって暫し黙り込み]
……君、変わってるね。
[ぽつりと小さく零す。欲のない人間を相手にするのは久しぶりだ。
少し考え込んでいる間に握った手が離れると、去ろうとする相手のポケットへ小さな黄色い鉱石を忍び込ませて]
…じゃあ、僕も君に倣うとしよう。
これは損とか得とか関係ない、出会えた記念のプレゼント。
また後でね、レト。
[転がり込ませたのは発電機にもよく使われる、雷の魔法を増強する効果のある石。
相手が何か言う前にと魔法で姿を消せば、己もまた指定された部屋の方へと足を向けた。**]