[ただでさえ、夫は仕事で遠方に出ているのだ。幸い夫の気遣いにより、婚家ではよくはしてもらっていたが、それでも自分の出自を考えると、彼のいない間、気が張り詰めていたのは確かだった。そうして彼を待っていたところへ、この心細さだ] ギィさま……。[しょんぼりしたように、夫の名前を呼んでしまったのは仕方ない*]