[自身がその話を聞いたのは、つい最近のことだ。
享楽に敏い魔界において、天使の飼育が流行している。>>#0
天使とは――、善を司り、光より生じる穢れを知らぬ高潔な使徒。
その多くは邪を厭い、魔と敵対する宿命にあるもの。
我が身は永劫と共に在る怪物である。
天使を知らぬでもないが、無垢を穢す想像を膨らませたのは初めてであった。嬲り殺すか、無様を観賞するか、それ以外の用途としては。
その夢想は、怠惰を是とする我が身を動かすだけの好奇に足りた。
此処暫く顔を見ていない既知である魔の王も、執心著しいと知れば尚のこと。>>7
如何ほど無聊を慰めるに足る存在であるか。
一旦湧いた興味は、魔界の深層から地上へと我が身を連れ出す引力となった。]