[固く閉じられた一つ繭。その中で眠っているのは、乗船当時のワイシャツ姿で横たわる己の姿。頬に赤みがさし、安らかな寝顔を晒している]
あーあ、だらしのない顔で寝ちゃって…
ホラ見て、右眼。薄目開いちゃってんの。
[ぷぷぷ、おっかしい、なんて笑いつつ]
『夢だって?ちょっと待て、じゃあ俺らは【生きている】ってぇ事だよな?じゃあこの状況はどういうことなんだ??そこに俺らの体があるって事は??』
言っただろう、僕らはこの船から降りられない>>4:-197って。
多分僕らは、――僕らの精神は未だVR…夢の中にあって、騒動が終わったから、VR空間と現実世界の座標が重ね合わせて投影されてるんだと思うよ。――まあ平たく言うと幽体離脱と変わりないけどね。
――そうなんだろう?スノウ??
[ざわめき出したEルームに、覚醒める者には聞こえない声で、呼びかける。自身の体が体感ホログラム上のVR空間に存在しているなら、同じ体感ホログラムのスノウも理論上呼び寄せる事が出来るはず。
果たして青年の声は猫に届くだろうか?]