[シモンも人狼と同様に彼らが斃れた後のことを、記録に残していただろうか。どちらであれ、彼は自分が為したことへの弁解など決してしないだろう。
パメラの命を奪ったシモンを憎んでいた。
彼のせいで、恩人を見棄てさせられたと恨んでいた。
けれど――もう、リゼットは知っているのだ。
彼の裡に命を奪ってしまったことへの後悔と葛藤があることを。
きっと死に至るその時まで、抱えこんだものと向き合っていくだろうことを。
だから、彼を赦そう。
そうすることで、いつの日にかリゼットも自分を赦すことが出来るかもしれない。
――そう、思えたのだ]