[ ゆっくりと、弓引き絞るように張り詰めていく空気を、矢の降る音が断ち切った。>>31 ]
なるほど、これが、王国の秘策か。
[ 無造作に槍を揮って矢を払い、男は、ぴたりと足を止める。 ]
月の女神の神前を多くの血で汚すは不敬だろう。我らはこれにて引き上げるが、構わないか?
[ 此の期に及んでも、男は、これが謀殺の罠だとは断じていなかった。
ギデオンが、帰すと言うなら兵を率いて堂々と自らの船に戻るつもりだ。
もしも、このまま戦を再開すると言うなら、ゼファーの戦士は、躊躇わず、甲板を血に染めることだろう。* ]