…ローズマリー。
…ローズマリー頼む、起きてくれるか。
…すまない失礼。
[何度呼びかけても返事はない、目は覚めぬ―――
…流石に事態を理解し始めていた。誰にも咎められなければ、自分がそっと布団を剥いだだろう。
そして屈んでその手に注視すれば、予想した最悪の印がそこにはあった。
――…爪に見覚えのある斑点]
全員すぐに部屋を出てくれ。
ローズマリー女史は亡くなった。
…中尉殿の…検死を待とう。
[検死、などという言葉を使えば、それが死を認めるようで彼の心を苦しめた。そして、ローズマリーが管理人と同じ死因である事は明らかであったが、そう事務的に言わなければ、自分がどんな事を言ってしまうかさえよく解らなかった。
もちろん彼の声は震えていたのだが。]