[暫くして、廊下をバタバタと掛けて来る音がした。
扉の外で何ごとかと一頻り騒ぎがあった後に、扉が開かれる。
扉から転げ出るようにして、頭を下げた者には覚えがあった。
オルブライト外務長官のところへと遣わせた者である。
青ざめた顔の男が、歯の根震わせながら告げる言葉に、ウェルシュの顔色が変わった。咄嗟にシュナウザーと顔を合わせ、すぐに部屋を出ていく。
制止の声はあったか。
あれど構わず、ウェルシュは外務長官の執務室へと向かった。
既に扉の外には幾人もの人々の姿がある。彼らは、その場に現れた王子の姿に声を上げたが、それも構わず部屋の入口へと立つ。
リヒャルトの姿>>24は、まだそこにあっただろうか。
あれば一瞥を彼へも向けて。]