― グランツェルツ橋上空 ―
[橋へと戻る途中。>>5
軍師と思しき者がエトヴァルトと相対し、戦っているのが見えた。
本当は、ここで彼を捕縛なり始末なりしておくつもりだったが、その光景を見て、彼らの戦いに介入するという発想は、自然に頭から消えた。
戦争にしては甘い考えであることはクレステッド自身解っていたが。
それは、クレステッドが武人でもあることの証左だったのかもしれない。
だが、それならそれで戦略面で何もしない、というのも憚られた。
彼は姿を消したまま、船団の後方に向かい。傍らの袋から硝石を取り出して砕きつつ、小声で魔法を唱えた]
クレステッドの名のもとに命ずる
水底に棲まう姿なき者よ
荒ぶり、爆ぜよ