[ ……テオドールは剣を抜いた。 今のテオドールには、これから死にゆく者を敬う心などない。 だから、それを告げたのは、魔女の動揺を誘う為だった。 ] 俺が知る未来で、キアラは偉大な魔法使いだった。 彼女の母は、不思議なほど長く生きたが、彼女が卒業し無事騎士団に所属するのを見届けると、 急に年老いるようにして、満足そうに死んだのだと聞いた事がある。[ この時間軸において、運命の変わらぬ者、変わった者の境がどこにあるのか、 テオドールにもはっきりとは分からない。 ]