[すべてを見下ろす位置で、魔王はまだ玉座から動かずにある。高い視点の利で、こちらへ向かってきた人間の火はだいぶ前から見えていた。遠くで微かにちらつく火は、宿営地の灯りだろう。人間たちにとっても、偉大なる魔王の居城は良く見えたはずだ。明かりを持たない魔軍の中にあって、聳え立つ巨大な兵器は魔導の光を帯びている。魔王自身もまた、魔力を淡い光として纏っていた。大地から滲み出る火が闇夜に映えるような灼光。魔界の太陽の、斯くの如し。]