― 王の間 ―[更にそれから幾日か。国王の遺言が見つかったと知らせを受け、ウェルシュの姿もまた王の間にある。王を失ってからというもの、王宮内でも人々は浮足立っているようだった。ましてや国の民はどうだろう。不安に慄いているのではないかとは、容易に想像がついた。早急に次期王座を埋めねばならぬ。その認識は、王に近しく国の上にある者たち共通のものであっただろう。ゆえに、王の遺言の発見は吉報であった。吉報──となる、はずであった。]