[逃げに徹したのは、敵わないというのもあるが、恐怖の感情もあったかもしれない。ギリギリの理性で逃げた上官とは違う方向へと向かう。あれを、あちらへ向けてはいけない。 ブーツに仕込んだサバイバルナイフで、近くの木に派手な傷をつける。来るならこちらへ。それから、撒こう。撒けるのかは知らないが、走るスピードは人並みであってほしいものだ。 それを幾度か繰り返し、やがてひっそりと距離を取るべく走り出した*]