[兄をしっかり家に送り届け
家と羊舎がある敷地を早足で抜けてゆき
牧場から程近く、毎日乳搾りを終えた後訪れる丘へ戻る。
両親がいない今、守らなきゃいけないのは兄だけじゃない。]
行かなきゃいけない場所が出来た。
帰るよ、お前たち。
[散らばる羊たちは羊飼いの財産だ。
落としたままだった杖を拾い上げる
今日もまた、苦労しそうだ。
未だあの子がいない生活に慣れず、手間取ることが多い。
四人の他にもう一匹、優秀な牧羊犬だった家族は
兄妹が大人になる毎に老いて、今は土の下で眠っている。
代わり探しに気を向けるには、重ねた時間はまだ浅い。]