っと、いかん
見付かったらマズい……
[森の茂みに身を潜め、ローブを被れば髪で尖った耳を隠し、鱗の見える足を隠し、背の翼を折りたたみ、尾を腹に巻き付けて人に扮した。
そのまま教会の裏へと回っていく。頭に浮かんだ言葉は、先程の事。
『天使を飼う』としたら、彼女が良い。そう強く願ってしまったのだ。
もしも、あの天使が不運だとするのならば。魔族である自分に“一目惚れ”なんてものをされたのが運の尽きだっただろう。
見付かったらマズいのは、魔族とわかれば天使は即座に敵対してくるだろうから。過去に、そういう天使と出会った事があるから。
あの時は幼いながらに、ただ逃げる事しか出来なかったが。ここまで、自分の物にしたいと思ったのも久しい事だろう。]