[それから、ディークは傭兵たちの陣地にある幌馬車に向かった。
シメオンが気前よく前払いを提示したとき、ディークは金や宝飾品ではなく、この馬車一式と奴隷にされた子供たちをもらったのだ。
子供たちは働き手としてはまだ非力であるから余っていた。引き取り手がいなければどうなるかは想像に難くなかったから後先考えずに手に入れた。]
……、
[奴隷小屋代わりの馬車につながれた子供たちは縄をなったり布を繕ったりする軽作業をしていたが、どういうわけか朝よりも人数が増えていた。
逃げ出して減るならまだしも、逆とは。
何人かは繋がれてるふりだけしている子供がいそうだ。
どのみち、解く気があれば解ける枷である。]