………そうね、状況的に考えて、
ドロシーを殺したのは彼女。
悲しいと思う、胸が痛いわ。
………でもね、
許すのは、きっと、私じゃない。
[ 許せるのか、と問うゲオルグに、ゆるゆると首を振る。
頭を撫でれば、ホッとしたように泣いて。
心細そうに、目尻を下げて。
嬉しいと喜び、いかないで、と願った。
そんな小さくて強い、ドロシーを知っていたから。
瞳には一瞬、血色が灯る。
でも、許すのは、ナネッテではなくて。
そして、ゲオルグでもなくて。
ガートルードに不信感が湧き上がるよりも、早く。
怒りや、憤懣が湧き上がるよりも早く。
哀しみと、後悔で胸を満たしてしまったから。
ガートルードが、ナネッテをどう思うかは分からないが。>>33 ]