[ふわり、ゆらり、薄墨色の影が揺らぐ。揺らめく影は僅かな沈黙の後、しゅるり、と葉を伸ばし、茎を伸ばした。茎の先には六枚花弁の花一輪。本来真白のはずのその色は、白とは異なる月白色。ふわ、と。風もないのに花が揺れ、それから] ……影翼シメオン・シュネーグレックヒェン。 主命と、いとし子殿の願いにより、罷り越しました。[妙に芝居がかった口調と共に、ふわり、と揺らぐは月白の翼の影。とはいえ、その姿はどこか、曖昧に揺らいでいるけれど。*]