っふふ、っはは………
[暫く小さく肩を震わせて、笑う。
カナンにはどうして笑っているのか、分かっただろうか。
分からなければ、それでも良い。
暫くの後、アレクシスは身を正し、笑顔を貼り付ける。
否、その笑顔は少しだけ綻びがあったかもしれない。]
………。失礼致しました。
私らしからぬ期待を、貴方にしてしまったようです。
[そして再び背を向け、路地裏へと歩き出す。ブラバンドの古めかしい街路灯が、黒髪を照らす。
カナン・リリはまだそこに居ただろうか。もし居るならば大きな独り言は、きっと聞こえるだろう。]
巫女姫は、今、砂の城の上に居ます。
王府からは煙たがられ、南方はご存知の通り。
――――北の民も、いずれ………
[そこで言葉は途切れる。その先は、言えない。]