[猫はふんふんと小箱のにおいをかぐ。しっかりとしまって、開かない箱。
村を包んでいた災は箱のなかに戻り――
「パンドラの箱」は災いが飛び出して戻せず、希望だけが残った。
この「箱」はそれとは逆に、降り注いだ災を箱のなかに閉じ込めた――
きっと希望は、村人たちが作ってゆくものになるのではないだろうか。
それが各人において、どのような希望であるかは、ともかくとして。]
……よかった
[テオドールの足元にそっとすりよ――ろうとしたら、猫は少女になっていた。
そういうわけで、テオの隣には小さな少女がいたはずだ。
おばあちゃんと同じにおいがするテオに、にー、と笑う]