[銃声も白煙も、徐々に収まって]くそ……![どうやら逃げられたことに、歯噛みする。聴こえた声から、多少の傷は与えたようだったが――、それがなんだ。副長を死なせ、敵には逃げられて。自分や中尉は、負傷もしている。――ともかくと、薬品の滲みた上着を脱ぎ捨てる。腕に触れてみると、少しぬるりとした感触。アルカリ系の薬剤のようだ。どこかで洗えるならそれで済むが、そんな余裕はないだろう。直接浴びたわけではないから、そこまで酷い状態ではない。腕に唾を吐きかけて、なすっておいて]