兄上が暴動を収めるため、視察に赴かれたらしい。
その前にというので、先ほど話を聞かれてね。
共に練った者は誰かと問われ、君の名前が挙がった。
─── 巻き込んでしまったかも知れない。
[眉を下げたまま伝え、僅か首を横に振る。]
兄上には施策が私の責によるもの、父上の了承を得た上のものであること、これまでの運用に問題はなかったことをお伝えしてある。
だがもし、直接兄上から何か問われることがあればお答えをして差し上げてくれ。
…万が一、それが来る前に君に伝えておきたくてね。
[そこまで告げれば、一度言葉は途切れる。
それから交わされる言葉は幾つか、その間にも外務長官の姿が現れることはなく。]