[昼過ぎ、ちょっとのパンを齧った後、ルートは薔薇園に向かった。玄関口で頬杖をついて眠る彼>>27に毛布をかけて、耳元で]
寝るならベットにしとき、な?
[と言ったが、果たして聞こえているかどうか。]
[主がいて、きっちりと世話をされている薔薇の木は、しっかりと根を張って、日光できらきらと輝いていた。いくらか嵐で枝が折れてしまったものもあったが。
ルートヴィヒは、薔薇を最も美しく見せるための剪定の知識はもっていないので、ただ枯れた枝を取り除き、時折病害虫にとりつかれた枝を見つけては、処置を施すことに没頭した。]
薔薇は赤い、スミレは青い、ピンクは優しい、そして君も…
[おおよそ、そんな意味の童謡を低い声で歌いながら。
誰かにしゃべりかけられれば、ゴキゲンで応対したことだろう。]