そこの少年!目を閉じて耳を塞げ!
[突然の登場人物からの指示に少年は反応できただろうか。
彼の力は、秘とされており、なじみ深く彼としては当たり前のものであった。
火山から灰が降るように、粉末状のものが火ネズミのもとに舞い、小さな衝撃を生み出す破裂音。火ネズミの眼前で炸裂する音は、少年と火ネズミの間合いを力づくで開かせる。
それははためく布から灰を吐き出したのか。灰が布になったのかその一瞬ではわからなかったかもしれない。
耳と目への刺激に怯んだ火ネズミへと長柄の棒の先端に括りつけられた布は鞭のようにしならせて、二匹の火ネズミを強くうちすえ、返すように手首を返せば、布は火ネズミの喉元に絡まり、互い合わせにぶつけ合うように叩きつけて、火ネズミは意識を失ったようにぐったりとしていた。]