あ、ぇ……?
[今現在空のお散歩中。そういえば、この辺りで大分魔族が狩られてしまったと言っていたか。
そんな所に無意識に入ってしまった最中。視界に入る村はどうやら祭りか、それともおめでたい事があったのか。
言葉を失ったのは、それだけでは無かった。否、人なんて正直どうでも良い。自分が目を奪われたのは、教会の上に佇む一際目立った存在。
その美しさは天使、と呼ぶに値するものだろう。語彙力が無く、陳腐な言葉で表すならば、こう称するのが正しいかもしれない。
『女神に心を奪われた』
魔族である自分が、そんな存在に一目惚れをしてしまったのだ。ぽーっと顔を赤らめたまま暫し、その様子を眺める。
向こうは人々を見ているからか、こちらに気付く様子は無い。豪勢な料理、旋律を奏でる楽器、笑顔が溢れ響く笑い声。
きっと平和と言うのはこういう事を言うのだろう。少なくとも魔族には縁がないに等しいかもしれない現実。]