何度も言わせんな てめえじゃねえ
[耳朶に響く笑い声が不愉快すぎる>>35。ひっでえ雑音。
それだけで、聞かねえだろうな。なんて応酬する気も失せた。
こいつの《魂の聲》も、こんな酷かったら嫌だなあ…。とか思ってしまったのは、誰も知らなくていいこと。
俺が喧嘩してたのは無駄に知性の高い、
それでも付き合うようなお人好しの学者。
エゴだ何だと返すんじゃあなくて、もっと嫌味を効かせた言葉を発してくる奴。
こんな、本能剥き出しで暴れるような、みっともない獣じゃあない。
振り下ろした刀から、骨を断つような感覚が伝わるが、全く怯む様子がなく。
まさか自分の怪我で赤く滲んだ血の匂いが、助長させてるとは思ってたけど思わねえじゃん。
零距離から逃れられるような身体能力なんかしてねえし、そもそも狼相手にスピード勝負なんか敵うはずねえから。
大きく開いた顎門は左腕を間に入れたまま閉じられて――]